カラーレシピ
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カラーレシピ

はらだ

ページを捲るのが恐ろしい

ネタバレ
2022年7月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 攻めの福介のあまりにも強い執着心・支配欲に、終始ドン引きながら読みました。上巻の時点で既に恐ろしかったのですが、下巻はさらに狂気に磨きがかかり、最早BLというよりはヒューマンホラーを読んでいるかのような感覚でした。
途中で改心するかのように見せかけて、やはり何も変わっていない福介が最早どこか愛おしいです。最後のしおらしい姿や言葉も、結局は計算でしかないのかそうではないのか。けれど、自分によって追い詰められた笑吉を見て「可哀想」だと思ってしまい、どうしても興奮できないという人間らしさもまた持ち合わせているところに、底知れない魅力を感じました。どこまでが福介の計算なのか分からないところが、想像の余地があって面白いです。
福介の本性を知り、あれだけひどいことをされてもなお彼の元を訪ねてしまう笑吉は、既に福介の腕の中に囚われているような気がしてなりません。共依存の未来を着々と歩んでいっているようにしか見えない終わり方にゾクゾクしました。福介のレシピ通りに染められてしまった笑吉が、彼の髪を染めるシーンが何気に好きです。「すき 笑った顔かわい」と虚な目で呟く言葉だけは、心からの本心だと私は信じたいです。
他ではなかなか味わえない、狂気と愛の共存が素晴らしかったです。
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