嫌い、大嫌い、愛してる。
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嫌い、大嫌い、愛してる。

ARUKU

奏によって人になれた凍月

2022年7月30日
2章終わりごろまで本当に読んでいて辛かったですが、奏が復讐に活力を見出してからラストまでハラハラする展開で見逃せませんでした。冒頭から登場する凍月が過去と現在でまるで別人のような表情をしていて、作中でも奏に恋して愛していくにつれ、変わっていく顔相が印象的でした。悪魔が奏と出会って人の心を持ったような、それでいて最後まで自分勝手に行動する凍月。脇の女性たちもそれぞれ役割があって展開する、愛憎渦巻くストーリーが1冊にまとめられていて圧巻です。奏の可憐さや儚さ、復讐心で生き生きとしている様でさえ本当にきれいで美しくて、凍月を自ら誘ってもそこがブレない、最後まで尊さがあり、夢幻のようなラストがその存在によってより刻まれたような気がします。
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