橙のレシピ
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橙のレシピ

ヤスエイ

ひとを好きになるという幸せと業

ネタバレ
2022年8月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 暮部亨は5才の時に両親を亡くして、母方の祖父と母親の弟である叔父の幸彦に育てられました。13歳年上の幸彦に、いつの間にか持つようになった恋心を忘れようと誰かと付き合うものの、満たされない空しさに亨は苦しんでいます。一方叔父の幸彦は同じ想いを父親に対して持っており、やはり空しさと罪悪感とに苛まれていたのでした。その父親が亡くなって、幸彦と亨が二人で暮らし始めて5年、幸彦は亨を育てることで自分を立て直してきました。けれども幸彦への想いを自覚した亨は、幸彦の友人の助言もあって住んでいる関西から遠く離れた都内の大学への進学を決めたのでした。去年の果実も今年の果実も同じように色づく橙を象徴として描かれるお話ですが、プラトニックとはいえ実の父親への想いという設定に感情移入できるかが評価を左右するかと思います。面倒なDNAを持つ一族は置いておいて、亨の付き合っていた斉藤先生の幸せを祈ります。
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