愛と獣-捜査一課の相棒-【SS付き電子限定版】
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愛と獣-捜査一課の相棒-【SS付き電子限定版】

中原一也

犯罪を法で裁く事の限界に苦しむ姿がリアル

ネタバレ
2022年8月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ ものすごく今更な気がしますが、先生は、オヤジキャラを書かせたら右に出る者はいない…くらい、そっち方面で有名な作家さんではないでしょうか。どの作品も面白そうで、セールを機会に何冊も買い込んで読んでいますが、このオヤジキャラ率が他の作家さんと比較してかなり高い気がしています。元々オヤジキャラは、どちらかと言うと苦手な部類で(35歳くらいまでならいける)そんなに思い入れもなかったのに、何冊も読むうちに段々好きになってきてる自分がいて…新たな扉を開いてしまったようで、楽しく困惑しています。今回は『ブラックジャックの罠』みたいに事件絡みの話で、一冊にまとめられているにしては内容が充実していて読み応えがありました。前半はミステリー風に話が進み、途中、薄ら全体像が見えてくる辺りからサスペンスっぽくなる変則的な展開が面白かったです。犯人が分かっていても逮捕できないもどかしさ、泉の辛い過去との葛藤や苦しみなど、泉を通して「法で裁くことの限界」を考えさせられ、法治国家の歪みを見せつけられた気がしました。そういう巨大な苦悩に押しつぶされそうな泉を力強く逞しい腕で守ろうとする一色がカッコ良かったです。あと個人的に先生のオヤジキャラは、オヤジギャグが少ないのがいいと思います。オヤジのオヤジギャグはどうしても引いてしまいますので😓
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