このレビューはネタバレを含みます▼
この物語はフィクションですが、私たちが生きる現実世界で起きていることを、作者様が調べ尽くした上で嚙み砕き、作り上げた世界だと思うので、とてもリアルに感じられて読み始めると止まらなくなります。描写はかなりグロテスクで、ちょっとエロくて、いかにも青年漫画って感じではありますが、とても考えさせられるお話でした。というか、「考えさせられる」という言葉じゃ表現し足りないくらい、自分の常識や倫理観を根底から揺さぶられました。命というものに対する捉え方の幅が拡がった気がします。そして普段何気なくしている自分自身の判断が、一つの物の見方に過ぎないという事実を改めて認識させられました。
ラストがまさかこんな終わり方になるとは思ってもいなかったけれど、そこそこのハッピーエンドなのかなと思いました。環の願いには泣かされましたが、それ以上に残された人たちが彼女の意思を酌んで、いろいろ選択していくところの方がより泣けました。でもそのお陰で、全国に散らばる環達の安寧は守られ、パーフェクトドナーという悲しすぎる存在が作り出され量産されることをギリギリ阻めたのかなと。ただグロイだけじゃなくて、とても深いお話だったので、耐性のある方には是非お勧めしたい漫画です。