シンデレラリバティ
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シンデレラリバティ

本郷地下

お見事な回収劇

ネタバレ
2022年8月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 運命に翻弄される切ないオメガバβ×Ω「シティ・ライツ・バースデイ」の作者さんの新刊。凝ったストーリーと設定で読者を連れて行くお話を描く方なので、新刊期待してました。上下巻同時発売でありがたい。上巻だけだったら待ちきれずに暴動起こしてるところだった。
現在、3年前の過去に何があったか、更に3年前の過去の人物がさらに過去の回想をするという多重構造なので、流し読みしてたらわからなくなるかも。ちなみに、現在は白枠、3年前は黒枠、さらに遡った高校時代の枠は縞々模様(テレビのリプレイ画像のような)で区別がつけられているので、それさえわかっていれば、突然時系がジャンプしても見分けられます。リアルで尖ったものが生理的に苦手なので、1話目でかなりゾクゾクしましたが、我慢して読み進めて良かった〜。ぬいぐるみでデフォルメされたり表現にも配慮されてたりしてるので、作中で起こっててキャラが苦しんでいる度合いに比べて、読者にとってはマイルドに読めますよ。私は最初何故か兄の視点から読んでしまったので、途中で辛かったな。。作者さんも兄を絶対の悪として描いてないからですよね。そういうものとして生まれてきて、何かがかけ違ってしまった末に転げ落ちていった悲劇。。どうにかそこに行き着くまでに何かできなかったのかと、リアルのニュースでも犯罪者の背景を知るたびに、無関係な全くの第三者としては無責任だけどどうしても思ってしまう。。言葉だけでなく絵で説明する作家さんなので、ラストのコマの写真でタイトルと伏線を完全に回収してて、お見事と唸りました。良い未来を祈ります。
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