極夜
」のレビュー

極夜

文善やよひ

ー忘却ーの切なさと美しさ

ネタバレ
2022年9月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 静かで仄暗い優しいファンタジー。
陽の光から一番遠い世界の王、ツクヨミさま。
切ないけれども優しい愛にあふれた作品です。

「鴆」でも命を懸けての愛を描いてらっしゃいますが、こちらも切なくて愛おしい永遠に続いてほしいと思うような至高の愛がテーマです。
ストーリーの中で2人のターニングポイントがいくつかありますが、その時のお互いの想いを想像すると苦しく悲しい。
けれども、なぜか暗く重い作品ではありません。
小鬼たちの可愛さや、ツクヨミ様のチョット斜に構えたかわいらしさでしょうか。

重く鉛の王な常世の忘却の空気が二人のこれからを想像させ、ラストに向かうストーリーは尚の事2人だけの世界が濃密に色濃く紡がれていくのではないかと思わせてくれます。

最後の方で「鴆」のその後が描かれています。
先生が「鴆」→「本作」→「鴆 天狼の眼」の順に読んでね!とおっしゃってました。これから読む方はこの順番でどうぞ。

好きだ~先生の作品好きだ~。
ファンタジーが好きなんだが、ダーク過ぎずハッピー過ぎず、そして美しい儚く切ない作品と言う好みドンピシャの作品で大満足なのです。
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