氷の城壁【タテヨミ】
」のレビュー

氷の城壁【タテヨミ】

阿賀沢紅茶

想像以上に深い人間考察

ネタバレ
2022年9月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 50巻近く無料キャンペーン中だったので、なんとはなしに読み始めましたが、読めば読むほどその面白さに気がついたら一気に購読してしました。単に学園恋愛漫画にカテゴライズしてしまうのはもったいないと思えるほどにそれぞれのキャラクターの心理描写が巧みです。メインキャラの4人はそれぞれ心の奥底には、家庭に自分の居場所がないという孤独感や、周りの友人からあるがままの自分では受け入れられないのではないかという不安を感じています。結果自分の見られたくない部分を暴かれるのではないかと近づく人を過剰反応にシャットアウトしたり、逆に誰も踏み込めない心の奥深くに鍵をかけていることに本人自身も気づかないまま、なんとなくうまく人間関係を構築しているように見えたり。この一見バラバラの性格の4人が出会い関わり合うことで、相手を大切に思う感情を知り、喜びを感じることができ、結果今まであまり好きではなかった自分自身のことも肯定していくという化学反応が見事に描かれている名作だと思いました。できれば高校卒業後、何年か経ったその後も読みたいなと思う作品です。
いいねしたユーザ47人
レビューをシェアしよう!