嫌い、大嫌い、愛してる。
」のレビュー

嫌い、大嫌い、愛してる。

ARUKU

暴力的なほどひりひり痛む愛

ネタバレ
2022年9月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 無為なページが一切ない。この一冊で見事に描ききっているこの物語は、漫画なんだけれど、どこか近現代日本文学のような、陰鬱でありながらも登場人物の内省を(くどくない微妙な加減で)描いていて、ARUKU先生の完結済作品の中でも取り分け好きです。
『残酷って綺麗』物語ではドストエフスキーの白痴と純平の台詞が印象的でした。その後の二人も添い寝しているけれど、これが現実なのか心象風景なのか…。
純平の独白がないところさえも読者への余白を残す作風すら心憎い演出で、夢にまで現れそうな程の強烈な余韻を残します。感動とは出会った時に言葉を失うことなのだと思い知らされる一冊でした。
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