親愛なるジーンへ
」のレビュー

親愛なるジーンへ

吾妻香夜

あまりにも名作すぎる

ネタバレ
2022年9月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初めて読んだ時は正直身一つで飛び出して路頭に迷ったジーンを赤の他人であるトレヴァーが保護し、それどころか多額であろう学費まで出して大学に行かせたのに結局最後は15年間1度も会わない関係になるなんて…!(再開してハッピーエンドとはいえ甥の助けで再開しただけだし…なんかすぐ帰ろうとしてたし…)とジーンに対してモヤる部分もあったのですが、ラムスプリンガの情景も合わせて読むことでそれなりに納得できました。生半可な気持ちで故郷を捨てたわけじゃないので、その覚悟と同じように自分が何者かになれたと思えるまではトレヴァーとは会わない(甘えない)と決めたジーンの覚悟だったんだなと…。ラムスプリンガの情景まで読むことで故郷の大切さやそれを捨てることの重大さ、残された者の悲しさをさらに深めることができたので、なるほどな…と思いました。欲を言えば!欲を言えば15年の間にもトレヴァーおじさんのことを思い出して会いたい気持ちを我慢する…みたいな描写も番外編とかなんかで欲しかったなと!思います!!いやきっと思ってたんでしょうけどなんかもっとこう…トレヴァーおじさんにもっと報われてほしくて…!恋心を知れて幸せだったとはいえその後15年も離れてしまったおじさんが悲しすぎて…おじさんはそれで良くてもこちらが勝手に悲しくてつらかったです。笑
最初の印象はすこし難しい歴史物BLかな?と身構えていたのですが、読んでみると笑えるようなシーンがいくつもあったしとても楽しく読めました!特にトレヴァーは堅物そうな感じだったのですが、読んでると普通に愛嬌があるしおもしろいし表情豊かで…。教会で涙がこらえきれず泣きながら…それでもまだ何かをジーンに与えようとするトレヴァーの姿にはかなり泣きました。学費まで出してるのにおまえまだ何かあげたいのか…!!!どんだけ献身的なんだ!!!!幸せになれよォ!!!誰か!!誰か!!と叫びたい気持ちになりました。ほんとに名作です!作者さんがもう好きなので他の作品も揃えようかなーと思ってます。
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