Borderline
」のレビュー

Borderline

木原音瀬/小野浜こわし

みっともない愛

ネタバレ
2022年10月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ この間 木原音瀬先生の本を読み終わって やっぱりきはらおとせ先生はいいなあと思いながら表紙を見つめていましたところNARISE KONOHARAと書かれていて なんぞやとしばし考えて気づきました。先生はこのはらなりせ先生だったのです。恥ずっ!数ある好きな作者様の中でも霊的に愛している先生の名前すら知らないなんて、バカだバカすぎると落ち込んで、そのあと詩的で素敵なペンネームでいらっしゃるなあと浮上しました。
そんな大好きな先生の最新作、これは木原先生の「めちゃくちゃ愛しているのに相手はなーんも思ってない」パターン(パターンて言うな)です。ジャックは男女ともに好かれる自由快活な雄みの強い人物でガレはインテリで陰にこもりやすくグジグジ考えてしまう人物、ジャックは都合上受け役なのですが頭の中身はストレートでガレの気持ちはブロックされます。ガレ視点が多いので読んでいていたたまれない気持ちになります。
残りのページが少ない...これ続編あったっけ?と完結表示を確認しながら読み進めて...うんよかったです。
やっぱり木原先生すごい。
ジャックはそもそも愛って何なのかわからないのだと思います。こだわらない性格で戦場で仲間が殺されても引きずらない頭の切り替えの早さがあって人に執着することがない人。対するガレはジャックのことが好きで好きでたまらない 考えただけで泣いてしまう感傷的な人。ガレは愛は知っている、ていうか愛の渦で溺れている、そんなガレが愛について考えるところが泣けるのです。どうやったらジャックに自分を見てもらえるのか、死のうか殺そうか、でもそれって愛?自分の愛ってなんだろう?叶わない恋をしたことがある人ならガレの気持ちが痛いほどわかると思います。
戦争と愛と、どちらもスリリングで木原先生のワールドにどっぷり引き込まれました。戦いのシーンはかなり悲惨で辛くなりました。生と死は紙一重です。愛については考えさせられました。読み終わって心に栄養をいただきました。やっぱ先生すごい。最高。
小野浜先生の挿絵も素晴らしかったです。読めて幸せです。
2022年8月 総261ページ 挿絵あり
いいねしたユーザ12人
レビューをシェアしよう!