このレビューはネタバレを含みます▼
まだ若い女性の身で、皇室という重い伝統しきたりを持つ世界に向き合い、背負い、弟宮に引き継がせようとするヒロインのりりしく健気な姿に心打たれました。
側に心を許せる伴侶がいれば良かったのに、愛した男は自分の侍従。そこに絶対的な身分差があり一緒になることは許されない。男帝なら後宮を作り、妃を複数持つことができたかもしれないが、血統問題がからむため女帝はそれが難しい。切ないですね。でも二人は正式な伴侶でなくても、互いをかけがえのないものと思い寄り添っている。帝を心から慕い支えたいと願う御園は、終生おそばを離れないはず。様々な制約がある時代の一つの愛の形として、納得のいくお話でした。
この漫画で特筆すべきはその世界観。時代考証をきちんとしたのでしょうけれど、明治宮殿のありようと、当時の皇居のしきたりが目の前によみがえったようで、非常に興味深かった。力のある作家さんによるこういうお話がもっと読みたいです