フレームアウト・ボーイフレンド
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フレームアウト・ボーイフレンド

どつみつこ

タイトルの意味を考えてみると泣けてきた

ネタバレ
2022年11月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ どつみつこ先生作品、私、好きなんだなあ、と改めて実感。なんかね、感想を書きたくなっちゃうんですね。

幼なじみ同士のお話。お互いを見る目線や相手を思う熱量の違いを冒頭からまず見せてくれます。
一方は、愛情からくる独占欲によって。
一方は、自分の糧とするべく人生経験を積むため。
行為を同じくしても、感じるものが違う。得るものも失うものも、痛みを覚えるところも違うのです。同じなのはお互いに利己的だというところ。完全に見ているものが違うとわかる♯2の終わりは辛かったな。
そしていっくん、話が進むにつれてどんどん表情が良くなるの。
タイトルにある「フレームアウト」は文字通り画角の枠外へ出ることだと思うのですが、それは英騎がずっと望んでいたことだったのだと思うと…「僕を見て」のセリフが刺さって泣けてきます。
『Cutting Age』ほどのエキセントリックさはないけれど、主人公二人の心の動きが丁寧に描かれている良作だと思います。

映画などの映像作品がお好きな先生ですね。映画のようなカメラアングルを思わせる構図や物語の構成は『Cutting Age』でも見られましたが、今回のお話では登場人物が映像作家を目指している設定もあって、よりコマ割りやセリフが映画的に感じられます。
一話ごとの扉絵も素敵です。♯1以外は、二人のある一日を切り取ったよう。場面のひとつひとつが自然で、すっと引き込まれます。私は特に希望の感じられる♯4の絵が好きです。

レビューの評価が低めなのが少し気になりました。
感じ方はそれぞれなので仕方ないけれど…表紙と比べて中の絵、そんなにギャップあるかなあ?
大胆な構図と色使い、作中の絵も独特の筆致で、一目見て、あ、どつ先生!ってわかるんですけどね。
私は相性が良いのか、先生の絵、魅力的でとても好きだし、それ以上に読ませる物語を描かれるので、もっと作品を発表してほしいなと思っています。
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