鷹神様と憐れな生贄
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鷹神様と憐れな生贄

丹野ちくわぶ

不憫な境遇の累の将来はどうなる…?

ネタバレ
2022年11月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初読み作家さんで、発売当時からずっと気になっていたんですが、積んでいたのをようやく読めました。土地神の叢雲(むらくも)様×足の不自由な生贄の累(かさね)のお話で、表題作のみ全5話+描き下ろしで合計189ページ。事故で両親を亡くし片足が不自由になってしまった累が、唯一の家族・妹の雛の将来を案じて、土地神様への生贄になることを了承して…というお話。これでもかって言うくらい累が不憫です笑。不憫な境遇なんですが優しくて心根は強いという、もうまさに不憫受けのど真ん中を行ってます。そんな不憫な受けが色んな仕打ちに耐えながらも叢雲様の心を開き、幸せな人生を全うするという、ストーリーの骨子はとてもシンプルで王道展開なのかなと思います。なんですが、展開が分かっていてもやっぱり良いんですよね〜。自分のことは後回しで人のことを先に考える累に好感が持てたり、叢雲様が過去に受けた酷い仕打ちに絶望したり、心情描写が丁寧なので共感しやすかったのが良かったと思います。絵も丁寧で綺麗だし、修正の甘いエチが結構あったり、全体的なバランスが良かった。スライム的な物の怪(触手?)はちょっと世界観が違うような気がしましたが、まぁ★を減らす程ではなかったかなと。現世の人間と幽世の神様という関係で、どういう将来があるのか懸念してましたが、落としどころも良く読後感も良かったです。累の見た目が女子っぽいので、そういうビジュアルでも大丈夫かどうか試し読みしてから決めた方が良いかと思います。
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