さよならのモーメント
」のレビュー

さよならのモーメント

仁嶋中道

幽霊のアディショナルタイム

ネタバレ
2022年11月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初見を生かすためにネタバレは見ない方がいい気がします。私はレビューも何も見ずに読みました。所々心を揺さぶる場面がありラストは涙無しでは読めません。

自死未遂の高校生×親友を事故で亡くした時計屋×事故死した幼馴染み

色んな感情が湧き上がって文章にするのがとても難しい読後でした。半年前に事故死したはずの幼馴染が突然幽霊になって目の前に現れてから始まる3人の奇妙な共同生活の話。
生きている人間と死んでいる人間なので今は楽しくてもいつかは終わりが来ることは明白…始まった時から終わりを目指しているのが分かっていたので、亮輔がもう自分の声が届かない春哉を慈しんだ目で見つめている場面などに胸が苦しくなりました。

かと言って間に入っている司を邪魔だとも思えないんですよ。春哉の優しさに触れてどんどん春哉に惹かれていく司もまた苦しい恋をしているので三者三様それぞれに辛い想いを胸に秘めています。
ラストに向けて亮輔は成仏するために一芝居打ちますが毎年恒例の亮輔と春哉2人だけの誕生日のエピソードを絡めているので、亮輔の想いにもう胸どころか喉がつまります。涙で鼻もつまります。

本当はずっと両思いであと一歩踏み出すだけだったのにそれが出来なかった亮輔と春哉。両思いだったことに気づく場面が嬉しくも残酷で悲しい。
もっともっと生きて一緒の時間を過ごしたかったであろう亮輔の気持ちを思うと、最初で最後のキスはあまりにも辛くて美しかった…。ずっと言えなくて、でも言いたかった亮輔の告白に涙が止まりませんでした。

今年1番泣いた作品かもしれません。グズグズ。
全体の会話がナチュラルで漫画を読むというより、自分の記憶かと思うくらい話の世界観に入り込んでしまいました。
作者後書きもえち場面も無いので最後の1ページまで雰囲気も世界観も壊れません。

春哉にはこれからは温かい思い出として亮輔を連れて司と幸せになって欲しいと思いました。はーー泣けた。こんなに切ない三角関係があったとは。切ないけどハピエンなのでしっとりしたお話が好きな方にオススメです。
感想が止まらずこんな長いレビューを書いてしまいました。
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