金の絵筆に銀のパレット
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金の絵筆に銀のパレット

ARUKU

ARUKU先生の作品で一番優しい

ネタバレ
2022年12月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昭和が時代の作品が前にもありましたが、同じ昭和でも今作は、終戦直後。戦争の深い傷が生々しい時代、戦争から生き残った二人が主人公。ARUKU先生の健気不憫受けに、今回は欲を自制し受けを支える健気攻め。そう、俺様、クズ、身勝手攻めでは無かったんです。結核のため戦地へ行かずに生き残った桃里は、退院後に見知らぬ烏羽に、衣食住と薬を提供されます。烏羽は何も見返りを求めず、ただ桃里を支えるだけ。元々絵を学ぶ学生だった桃里は、男色家に囲われてる…にならないように、絵の腕で小銭を稼ぎながら、烏羽の提供してくれた家で暮らします。烏羽の溺愛は明らかですが、桃里を大事にし過ぎてなかなか進みません。ARUKU先生には珍しい攻め様かな。なので、ちょっと、チラッと、桃里がなんとも可愛いお誘いをしてます。時代や二人の背景があるので、不穏な感じが最後までありましたが、ARUKU先生らしい終わり方でした。桃里が暮らす家には人ならざるもの達がいたり、亡くなった人達が現れたり、不思議な世界とリアルが混在してます。戦争で生き残った桃里と烏羽には、生き残ったゆえの痛みがあり、読み手にも辛さが伝わる。それと対峙して生きていく事に、ARUKU先生の優しさと深さを感じました。よくBLにぶっ込んだなぁ、そして、やっぱり先生の作品らしくまとめたなぁ。凄いです。
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