おナスにのって
」のレビュー

おナスにのって

岩田 ユキ

設定そのものにダメージを受けるおそれあり

ネタバレ
2022年12月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最近、シーモアでよく見かけ、お値段も手頃、評価も高く、絵柄もふんわりしてるしどんなお話だろう、と思って読んでみたのですが、私には設定そのものがしんどくて無理でした。既に読んで感動している方は回れ右していただければ。投稿するかどうか悩みましたが、同じ思いをする人が今後出ないようにと思って、投稿しました。
以下、ネタバレです。

登場するのは、とある事情でこの世に生を受けることができなかった男の子。この子が、地獄で賽の河原で石を積み続けて18年経って、起こる出来事を描いたのが本作。内容そのものがどうこうではなく、色々な理由で死産、流産、中絶せざるを得なかった女性にとって、いわゆる水子が地獄で苦しみ続けるという設定自体が、苦しい気持ちに蓋をしてなんとか日常生活を送っている中で、そのときの罪悪感を引き起こすと思うのです。そして、この設定は、その罪悪感につけ込んで、お金を投じさせようとする水子供養商法で使われたのと根本を同じくしています。この商法は、そんなに古い時代からあるものではなく、根拠も不確かとされているようです。専門家というわけではないので、関心がある方はご自身でお調べください。
そして、過去にそのような経験をせざるを得なかった方が一定数いる中、そのような方が、この作品を目にして救われるかというと、傷つく可能性の方が高いような気がします。結局、男の子はまた地獄に戻らなくてはならないなんて。本当に辛い思いをした人にとっては、やっぱり救われた気がしないんじゃないかなぁと思います。せめて転生して幸せになって欲しいような。出産に伴う事故や事件が絶えない現状の中、辛い思いをした女性が傷つくことがないようにと思い、敢えて辛口レビューをさせていただきました。読む人の視点によって評価が違う作品かと。受け止め方に個人差がある一例なのだろうと思います。*2022.12.28追記。勇気を出して書かれたレビューを拝読し、涙が止まりませんでした。むしろこちらのレビューを読んで、自分ならどう感じるか想像して欲しいと思っています。作品を読んだときのショックと怒りからレビューを書こうと思いましたが、星をつけるとき、少し落ち着いて冷静にならなくては、と思い悩みながら☆3にしましたが、やっぱり傷つく人を生む作品に対する正直な気持ちを表したいと思い、☆1に変更します。
いいねしたユーザ29人
レビューをシェアしよう!