金の絵筆に銀のパレット
」のレビュー

金の絵筆に銀のパレット

ARUKU

言葉のトリックが散りばめられた作品

ネタバレ
2022年12月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 侘助から始まる登場する花々の花言葉、子孫繁栄の養分として吸血する虻、破れ傘、環境によって性別が変化すると言われている蛙がとる相撲(蛙は向き合えば目が後ろになるからすれ違うことの表現かな)、結核の喀血を彷彿とさせる不如帰、からたちの花の歌詞、畑に墜落した飛行機と重ねる北原白秋の詩…
ARUKU先生の言葉によるトリックとファンタジックな心象描写と、(個人的に大好きな)敗戦後の価値観が目まぐるしく変化する日本を舞台にした今作品。
最高に萌えました……。
破れ傘が出てきた時「もしかして心中物になってしまうのかな」と悲恋の結末を予想したのですが、虹尋が道端のおじい様に譲ったことで物語に変化が起こったのかな。
人生をカンバスに例える話は数多あるけれど、金の筆のオールと、銀のパレットの月の船で描かれていく二人の旅が、生を肯定した幸せな人生をイメージさせてくれて、静かな感動がじわりと胸に拡がります。
読み手に考えさせてくれる種を沢山散りばめてくれて、読む度に新たな発見を与えてくれるARUKU先生の作品、やっぱり大好きです……
いいねしたユーザ12人
レビューをシェアしよう!