半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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半分あげる【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

有馬嵐

泣きながら「したくない」と言ったのに

ネタバレ
2023年1月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「したくない」と涙を流していたのに、その後も体を売り、客を頼って上京、時代設定が現代なら必ずしも体を売らなくてもほかの選択肢があるのに。あの逃避行はなんだったの?物語的にはそれではおもしろくないということなら白木にとっては体を売るしかない説得力のある描写を加えるかいっそ開き直って振り切れてしまってほしかった。ピュアというか無知、貞操観念のないその後の白木には嫌悪感を抱いてしまう。自発的なウリならいいのか、それを受け入れる黒川。黒川も逃避行するくらいの行動力と正義感のある高校生なのに、卒業まで白木を完全スルー。幸運にも都合よく再会できて二人が結ばれてハピエンなのだろうけど、なんともいえない嫌な読後感。始まりが高校生が襲われ下半身裸で逃げるという悲惨さだったので、被害者の白木には潔癖さと救いを、創作物としてはもうすこし緻密な展開を勝手に期待してしまった。トラウマの回復の必要はないのか、そもそもトラウマにもなっていないのか。逃避行以後の気持ちが追えない。ごめんなさい、私は読み返しはキツイです。
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