2と車【電子限定描き下ろし付き】
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2と車【電子限定描き下ろし付き】

虫歯

尊厳破壊、そのあとのスーパーノヴァ

ネタバレ
2023年1月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ニトとクルマという二人・二つの才能がエンカウントした時から始まる、魂の!人生の!デストロイとコンストラクト!!
破壊と構築が同時に行われていく様を音楽という媒体で重く激しく切なく書かれた300ページ超えの大傑作です!

二兎は生々しい欲望を持つ人間を嫌い、美しさを音楽に求め人生全てをかけて生きたいと願っていました。
それは自らが欲望に翻弄される恐れの裏返しに見えます。
来間の音に出会った瞬間、既に欲望へと続く荊道しか選択肢が無い。それは同時に光り輝く道で、人はそれを一目惚れと呼びます。

醜いのに目が離せない。美しくないのにカッコイイ。近づきたくないのに惹かれる。
アイデンティティを蹂躙され困惑し撞着する。なるほど、これが尊厳破壊ってヤツですね?
二律背反はやがて自己の破壊に繋がる…と予感させといて、二兎は存外したたかにエロスを振り撒きフリマキしています。
受け、えろシーン皆無の時からずーっとえろいです。ライブ中にマイクをナニに見立てるとか、彼の中では熱いライブが性衝動に直結してます。エロ過ぎです(しつこい)。
えっちある?求められる?ヤる?となってしまっているのは、好き好き好き〜!って事なので、来間との温度差が辛いです。温度差だと思い込んでいるのが切ないです。

対する来間は音楽に一途な朴訥で、一見では判らないメンタル弱々なナーバス男。ピタリとハマる二兎が寄り添って才能の開花を得ます。この子、かわいいです。公園の遊具のてっぺんでギター弾いてる姿が胸キュンでした。
そんな来間との出会いで星の衝突並みの衝撃と、スーパーノヴァ並みの輝きを得た二兎さん。
才能の密着だけで終わらず、身体も繋がれた経緯が小憎たらしい!!二兎さん反則!!!それ反則だから〜〜〜!!!(嬉しむせび泣き。。。)))

雑誌掲載時と変更点があります。単話の5話(コミックス版の4話に当たります)が大幅修正です。読み比べると二兎さんの気持ち、作品の印象、作品への考え方などいろいろ深まると思います。
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