トロイメライ
」のレビュー

トロイメライ

涼子

子供の情景 第7曲目

ネタバレ
2023年1月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作品タイトルを目にした瞬間、あの有名過ぎるピアノの調べが脳内に響きます。夢見心地なお話なのかしら?と思うじゃないですか?イヤイヤ出だし、全っ然違う!
スピン元「肩甲骨とワンピース」(読みホ)でちょっとイヤ〜な印象を残した高杉と勇、それぞれの苦しいところが1話と2話で描かれていました。

他者に必要とされる事でしか安心を得られない二人の、寂しいところ・足りないところを補うだけならば直ぐに寄り添ってもいいはず。そうできない高杉の心情と、不器用だけど真っ直ぐな勇の思いとのすれ違いが哀しいです。
そんな4話のラストで、勇がピアノを弾きます。高杉のために何ができるかと健気にとった行動です。
ここを読んでからずーーーーっと、作品を読み終わるまでトロイメライの旋律が頭の隅で流れ続けました。
過去にも実在する楽曲を扱った作品をいくつか読みましたが、今作ほど作品に寄り添い続けたことはありません。
あの時たしかにあったはずのフタをしてしまった気持ちや、温もりや、幸せが、今はただただ辛く静かに去来する。複雑な感情をトロイメライの調べが代弁者となっていました。
そうしてピアノ曲を通じて2人の気持ちが段々と変化し幸せを得る方向に傾いていきます。

読み終わった時、改めて情感たっぷりなカバーイラストを見ながら実際に曲を聴きました。何度も何度も聴かずにはいられなかったです。
そして作品の結末に胸がいっぱいになった余韻にずっと浸り続けました。

修正は完全白抜きです。
が、達したあとまだ入っているままピアッサーを突き刺す描写がもうもう、サイコーにたまりませんでした。
≫≫
単話売り10話完結。4話まで読みホで読めます。
いいねしたユーザ15人
レビューをシェアしよう!