自由に走る筆が弾圧をくぐった彼らと重なる





2023年1月27日
まずタイトルに関連づけられる巻は最終巻3巻のみと思える。絵はすばらしいところが沢山ある。雰囲気をたっぷりと感じる。山東京伝などの脇も、活躍させ次第でより面白いはずなのだが、活用無く、人間の動きのほうはなんとなくの描写で済んでしまった。当代流行を作る人間達を並べているのになんだかもったいないという気はした。
狂歌の隆盛と絵師の活躍が互いに近かったとはいえ、出版と取り締まりと江戸風俗があまり絡み合った様子は作品からは薄かった。エピソードはそれぞれあっても一筋の流れがあるともいえず、断片断片でブツブツしている印象。でーこんに至っては私にはそれが狂言回しなのかファンタジーなのか、或いは歌麿の画才の源のアイコンなのか、話の組み立てにはつぎはぎ感いなめず、世界に入り込めなかったというのが本当のところ。行き当たりばったりに過ごす彼らを見せてくれていた。
奉行所や役人の役目も中途半端に映る。
とはいっても、こういう描かれ方で彼らの日々をビジュアル化した意義は大きいと思う。時代考証は別に置いて、現代的に生き生きしているのはとても躍動的で面白かった。
蔦屋銃三郎を主人公に絞ったほうが私にはもっと興味をかきたてられたかもしれなかった。歌麿とどっちつかずで話を引っ張り、結局なにがどうした、という点が散漫になったのではないだろうか。もっと間をつなぐ要素なり人の動きや考えなりが欲しかったように感じてしまった。ようやく3巻に至って「むらさき」をメインに据えようとしながら、結局のところオチとの関連付けが1,2巻では薄かったばっかりに、全3巻、という構成が全体として作品のインパクトというか存在感を下げたと感じている。出版界のあれこれのほうを前面に出すのであれば、少し縦串を貫くものとなって、版元の権利や処分エピソードが歌麿や重三郎の執念の傍らで話を締めたように思えるのだが。
狂歌の隆盛と絵師の活躍が互いに近かったとはいえ、出版と取り締まりと江戸風俗があまり絡み合った様子は作品からは薄かった。エピソードはそれぞれあっても一筋の流れがあるともいえず、断片断片でブツブツしている印象。でーこんに至っては私にはそれが狂言回しなのかファンタジーなのか、或いは歌麿の画才の源のアイコンなのか、話の組み立てにはつぎはぎ感いなめず、世界に入り込めなかったというのが本当のところ。行き当たりばったりに過ごす彼らを見せてくれていた。
奉行所や役人の役目も中途半端に映る。
とはいっても、こういう描かれ方で彼らの日々をビジュアル化した意義は大きいと思う。時代考証は別に置いて、現代的に生き生きしているのはとても躍動的で面白かった。
蔦屋銃三郎を主人公に絞ったほうが私にはもっと興味をかきたてられたかもしれなかった。歌麿とどっちつかずで話を引っ張り、結局なにがどうした、という点が散漫になったのではないだろうか。もっと間をつなぐ要素なり人の動きや考えなりが欲しかったように感じてしまった。ようやく3巻に至って「むらさき」をメインに据えようとしながら、結局のところオチとの関連付けが1,2巻では薄かったばっかりに、全3巻、という構成が全体として作品のインパクトというか存在感を下げたと感じている。出版界のあれこれのほうを前面に出すのであれば、少し縦串を貫くものとなって、版元の権利や処分エピソードが歌麿や重三郎の執念の傍らで話を締めたように思えるのだが。

いいねしたユーザ2人
-
romance2 さん
(女性/60代~) 総レビュー数:1852件
-
名無し さん
(-/-) 総レビュー数:1267件