坂の上の魔法使い
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坂の上の魔法使い

明治カナ子

全4巻(番外編込みで読めるファンタジー傑作

2023年2月3日
1巻の表紙からなんとなくショタっぽくて(←個人的に苦手)ずっと積読作品だったのですが、フォローしてる方のオススメ、レビューも高評価なので読みました。この作品、今まで読んでなかった自分が信じられない。。。

初出が2005年の1巻単行本冒頭短編で、その後2008年から2012年まで雑誌連載されてます。番外編が2017年連載で18年に単行本。長い時間をかけて大事に紡がれた物語を、この数日間でどっぷり浸かって読めるのは過去完結作品の醍醐味ですね。番外編入れて全4巻なのですが、ラストまで読み終わってしまうがもったいなくて、途中でまた最初から読み直したり、ウロウロしてました。
坂の上に住んでる魔法使いリーとその弟子ラベル。学校に通い始めたラベルは生来の明るさで、魔法使いの師匠と時折訪れる不思議な訪問者や学校の友達と、慎ましくも楽しく過ごしてたのに、どうやらラベルの出生とリーの過去と国の歴史には関係があるらしく、静かだった日常がどんどん変わっていき、、というお話。
こういう、過去回想系の話、大好物なんです!!起こってしまった出来事を懐かしみ振り返りつつ、過去が現実とも交差して、未来へ進んでく。もう読者には何が起こったのか最初にわかっていて、なぜ起こったのかその背景が明らかになっていく、、っていう。なるべくネタバレしないで書きたいので曖昧になってますが、ラベルではないもうひとりの主人公に惚れた!そして3巻は泣いた!!いや、もちろんラベルも好きだーーー。
男同士の心の繋がりが描かれているからBL枠になってますが、性愛描写はほぼないですし、BL枠だからって読まない人はいるなら惜しすぎる。
あと大声でいいたい。これはショタではありませんーーー。BL枠だから最初その目線になってしまったけど、これはちーがーうー。どうしても気になる方は2巻と3巻の表紙をみて!!あれが完成形だから。そして、単行本2、3巻と番外編の単話表紙は完全に洋画の肖像画ですね。。ネタバレになるから言えないけど、表紙にも意味があるんです(3巻あとがきでようやく気づいた私)。あと淡水魚とか海水魚とか、優しい作者さんは解説してくださってて、読み切れてなかった私が恥ずかしい。。
過去回想系のお話でよく感じるのは懐かしさ。どんなに想ってももう届かない切なさ。別作者さんですが往年のファンタジー名作「辺境警備」や「グランローヴァ物語」が好きだった方はハマると思います!
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