きみの横顔を見ていた
」のレビュー

きみの横顔を見ていた

いちのへ瑠美

思春期の生々しさと切なさが

ネタバレ
2023年2月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作の“きみはかわいい女の子”は心情の描写がとても丁寧で、登場人物のそれぞれが悩みや葛藤を抱えつつも、これぞ少女漫画!という爽やかで安心感のある物語に、かわいい絵も相まって大好きな作品でした。
そんな前作から、まず絵の雰囲気がガラッと変わっていてビックリ。そして内容も絵柄に沿ったように、よりリアルな高校生の日常と心理が描かれていて、『現実の思春期の女の子の体型ってこうだよな』『男子高校生ってこんなこと考えたり、話したり、したりするよな』という自分にも経験があるような光景に、懐かしさや切なさのようなものを覚えました。
特にヒーロー役?の男の子は、普通の少女漫画ならドン引きされてしまうかも…というような言動もあるのですが、そんな生々しい本音の部分をさらけ出す、飾らない等身大の高校生としての姿が、すぐそこにいるような身近さと良い意味での人間くささを醸しています。また、最初の話の女の子は一重まぶたを気にしていますが、多分キリッとした美人さんの素質があるように思うので、世間一般で言う可愛い子像や好きな人のタイプとは違うということにとらわれて、まだそういった自分の強みに気付けていないという部分にも若者らしさが感じられていいです。
これからどんな展開になるのかわかりませんが、たとえ報われない恋だとしてもどこか悲観的ではなく、一人一人が成長してくれる予感があり楽しみです。
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