春風のスネグラチカ
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春風のスネグラチカ

沙村広明

映画を見終わったような余韻

2023年2月16日
キジ島を臨むオネガ湖畔の荒涼とした風景。
そこに現れた車椅子の少女と隻眼の若者。
このオープニングシーンだけで惹き付けられてしまいました。
物語が進むにつれて、ロシア革命、ロマノフ家、ラスプーチンと、薄いベールを1枚ずつ剥ぎ取っていくように浮かびあがってくる真実。
フラりと入った名画館で少し古いヨーロッパ映画を観たような、思いがけず心に沁みて、その余韻に浸っているような、そんな読後感でした。
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