恋染龍雨衣
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恋染龍雨衣

朔ヒロ

荒々しいけど真っ直ぐなのが神様

ネタバレ
2023年2月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『明烏夢恋歌』『羅城恋月夜』と続くかすみ楼シリーズ第3作では、かすみ楼は背景となり主な舞台は外の世界で、妖では無く神様が主役となっています。亡くなった妻を恋慕う龍神が正気を失い荒ぶるのを止めようと奔走する息子の玻瑠灘が、幽世に迷い込んだ人間•地架を助けます。地架は高校時代からの友人かつ秘めた片思いの相手である狭山が誤ってかすみ楼に入り込み、そこの遊女の虜となり魂が抜けたようになってしまったのを何とかしようと幽世と現世との境目をウロウロしていたのでした。龍神の眷属となった地架の活躍と『羅城恋月夜』に登場した東御門紺の協力で父である龍神は正気に還ります。父と母や地架と狭山の姿、遊女の絢定、東御門たちの言葉から、まだ幼いけれど龍神の心を持つ玻瑠灘は「恋」について「執着」について色々と思い巡らせます。やがて期限が来て現世に帰ると幽世が見えなくなってしまうと知らされた地架は、このまま眷属となり現世に帰れなくなることとどちらかを選ばなければならなくなります。人の身体に龍神の魂を持つ玻瑠灘と、龍の身体に人の心を持つ黒御津兄弟がなんとも可愛らしく、ちびっこ龍の黒御津に癒されます。
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