僕らのミクロな終末
」のレビュー

僕らのミクロな終末

丸木戸マキ

アルマゲドン文学

ネタバレ
2023年2月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊のときに読んでいたのに、やはりレビューしていなかった。番外編を機に書こう。実写ドラマにもなったんですね。丸木戸先生の作品はドラマになりやすいね。たぶん…BLなんだけどヒューマニスティックだからだろうな。
初めて読んだとき「アルマゲドンだな」と思った。遊馬が出てきて、世界系ボーイ・ミーツ・ボーイになったけど(笑)、いい要素だったと思う。
作中に「過去を悔やむことも未来を描くこともできない」ってニュアンスの語りがあるんだけど、これが妙に残った。そう、辛かったり苦しくて悔やむことでネガティブになることはあるけど、それが出来るのは未来が存在しているからなんだな。未来を悲観する人もいるけど、それも未来があることが前提で、希望も悲観も生きることに裏付けされた前提あってのことだと。世界では明日、死ぬかもしれない状況に晒されている人たちがいるけど、色々思いながらも、本当に対岸の火事だったのだなと反省した。律と真澄の生育歴はひどい、アイドルの同性愛、若いが故の絶望感、寂しさに耐えられない退廃的な厭世感、この作品には人間の深い問いがあるなぁ。だから、遊馬という光は必要だったのかな。何もかも無くなるとなったとき、最後まで手にしていたいものは何だろうと考えた。「奇跡を信じて亡くなるのと信じなくて亡くなるのとどっちが幸せだろう」というニュアンスの語りがあって、やっぱり奇跡を信じたいなと思った。BLなんだけど、愛とエゴと生存欲求、日常の幸せを考える深い作品でした。文学だな。
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