みちみちなるままに
」のレビュー

みちみちなるままに

じゃのめ

独特のリアルさと不思議な湿度のある作品

ネタバレ
2023年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 小学校からの同級生•絵の好きな武田丈と長内稔が同窓会で再会します。当時、漫画家を目指す武田と絵描きを目指す長内は周囲から浮いていて、そんな二人は付き合い始めるのですが、校内で二人の「初めて」の現場が見つかってしまいます。長内は自分は襲われていたのだの武田を突き放して逃げ、武田はそのままリンチされて、それから学校に行かなくなったのでした。小学校時代の恩師に会う為出席した同窓会で、漫画家になった武田と家業の酒屋を継いだ長内とが顔を合わせ、そこからかつての辛い記憶と大人になった現在の想いとが交互に描かれます。何年経っても癒えない苦しさ悲しさの底にある自分の本当の気持ち、都合良く忘れてしまっていた記憶など、大人になったことで過去の自分とその時の感情を突き放して見ることができるようになり、二人の時間が再び回り始めます。思春期の不安定な心と、忘れたくても忘れられない黒歴史の描写が痛々しくて辛いのですが、そこを越えて一緒に歩き始める二人のお話です。後日談に出てくるカルチャースクールの講師がマッツミケルセンに激似でした。
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