新作が続く大好きな作者さん。この新刊もとても楽しみにしてました。今作品も、期待を裏切らない、いや期待以上で泣かされました。
小学校から幼なじみの長内と武田。長内は絵画、武田は漫画を描くライバルで良き友人。学生時代の武田の幸せな告白シーンか
らお話が始まります。そして突然切って落とされたような学校のトイレで武田がリンチされている衝撃シーンを挟んで舞台は現代へ。夢をかなえて漫画家になっている武田に同窓会の通知が届きます。武田には絶対に会いたくない思い出したくない記憶を塗り潰したい人がいて。幸せに付き合い始めたはずのふたりに何が起こったのでしょうか。現在と思い出の中の過去が行き来してお話が進んでいきます。
毎作品思うのですが、作者さんの映画のようなカメラワークと舞台展開が流れるようで本当に素晴らしいです。絵は一枚の絵なのに、動いているように感じられます。
雑誌連載の日付をみるとプロローグの第0話が一番最後に描かれたようですね。あのプロローグがあるとないとではお話の雰囲気が全く変わったので、描いてくださって良かった。
そして、後日談の鏡をみる長内が。。。あの1ページ最高。言葉を尽くさなくても、ボタン一つでわかってしまう気持ち。うわーーーです。あのシーンを最後に挟む作者さん、ほんと天才。あと最後の長内のセリフもイイですよね。ちゃんと口にしてほしい言葉を言ってましたね。完全に1本の短編映画のラストシーンでした。
昔なくしたはずの夢と恋。すれ違いで起こってしまった悲劇。なぜと問い続けた日々。作者さんが足掛け4年をかけて完結された切なさ溢れるお話です。オススメします。
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