このレビューはネタバレを含みます▼
母親に女の子として育てられた有馬優。名前すら、女子としていいようにつけられた。化粧を施したり、髪を伸ばさせ、ワンピースを着せ、姿勢や歩き方も注意し、可憐な「少女」と化した優は小3のときに、信頼していた男性に襲われ、女の子に邪魔だと男根を切られそうになったところを助けられた。優にとってのヒーローは、そのとき大河にとっては母の死に際に間に合わずヒーローではなくなった。交差する2人の因縁と、性別のアイデンティティが確立できなくなった優、表面的な関係しか築かなくなってしまった大河。テーマは重い。思春期までの出来事と、思春期ならではの出来事を、「演技」というメタファーで語られるストーリー。秀逸です。苦しさに切なさに泣けてくるし、大人が撒き散らしたエゴの結果を回収せず、大人の役割ってなんだろうなと考えさせられる。★足らん。