このレビューはネタバレを含みます▼
高校時代、カースト上位だった西崎(受)の見事なまでの転落物語。ありとあらゆる不幸がその身に降りかかります。劣悪な環境の中、這いずるようにして、滑稽に生にしがみつきます。さらに、全ての不幸を人のせいにして、自分のしたことは正当化。と、レビューも散々な言われようです。ただ、私は『人間の深層心理なんて大多数がこんなものではないだろうか?』と。母親と兄の自◯にしても、自分を悔いているシーンも何度も登場します。ただそれに終始してしまうと、西崎も後追いする他無くなるのです。それを思うと、根底では自身を責めていても、誰かのせいにしないとやってられなかっただけ、ではないかと。長野を裏切ることに関しても幾度となく躊躇しており、子供の様にお前のせいで死にかけたと泣き縋るラストシーンはもはや胸が痛くなるほどでした。自分の感情にとにかく素直な西崎。その癖、長野に対する自分の気持ちにだけ鈍感。私にとってクズ主人公の西崎は愛しくさえありました。これだから木原先生の作品はやめられません。