このレビューはネタバレを含みます▼
幼児の頃からの幼馴染で小中高と全て一緒に過ごしてきた代理店ライターの柿谷亮と美容師の周防弘樹は同居をしています。高校卒業時に、大学に進学する柿谷が美容学校に進む周防を誘って始まった同居はこの上なく上手くいっていたのですが、6年目に入ってその関係が危うくなり始めます。明るくて友達の多い周防を、いつも待っていてくれる物静かな柿谷。今までは柿谷が周防を想いつつもその想いから顔を背け、柿谷の気持ちにうっすら気づきながら見ないようにして周防がそれに甘えていたのでした。ゲイである柿谷、母子家庭で母親を心配させたくない周防、お互いの背景が、幼馴染で親友であるが故に二人を恋に踏み出させないのでした。柿谷の上司の戸和田さん、戸和田さんのことが好きだったバーのマスターの准一さん、周防の店の店長の佐久間さん、その高校時代の同級生の御園さん、二人よりも少し経験豊富な大人たちが二人を見守ります。どのキャラも生き生きとして魅力的で、じれったい恋の進行をしっかりと読ませます。ドラマチックじゃないキラキラしてない、日常からズブズブと沼に沈んでいくような恋の物語は、日高ショーコという作家の底力を堪能できます。