裏直家 阿修羅の契外伝~男と男~
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裏直家 阿修羅の契外伝~男と男~

大竹直子

たった1人の男を守る男の生き方とは

ネタバレ
2023年3月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「阿修羅の契」外伝。本編では歴史の中の直家公の人生を感じましたが、外伝はより私(素)の部分を感じました。

内表紙。宇喜多家の家紋、児文字を背負ったモフモフ耳+尻尾の直家公。大竹先生の美しい絵とモフモフコラボは、胸が苦しくなるくらいの美しさでした。

短編集の1話目は、直家受け!(主君 浦上宗景がお相手)
はぁ、もう大竹先生の主従関係の情事は凄い。直家に打掛を着せたコマ…💦 美しい…。そのまま事が終わればハピエンかなと思いましたが、ゾクっとしたのがその後の展開でした。
寝所を出てきた直家が庭先の家臣 岡に「守尾よういった、」と返答するコマ。直家と言えば、ひとりで事を起こすな、するな、と言葉を残した方。とすると主君 浦上との情事は、宇喜多直家以下家臣達が練り上げた策略だったのですか?と。(直家、 恐ろしい😩)宗景の追放を一度失敗した直家。それなのに許されている💦 (←惚れた弱み、宗景😌)…2回目成功。その後備前の覇者となった宇喜多直家、家臣あっての直家だったのかなと思いました。

「龍ノ口城攻め」(阿修羅の泪、前談)宇喜多家家臣、皆さん衆道の作法をご存知なのですか?と感じた物語。岡 清三郎のひと言に、岡 平内の”可愛い頂きました!”の会話のテンポが昭和っぽくて良かった。

「琴瑟(きんしつ)」直家と清三郎のお話。直家に満身の愛を捧げる清三郎。ここに、男が男を守る生き方とは何なのか…を感じました。大竹先生の描く忠義と衆道の世界は甘さのない美しさで、永遠に変わらない2人の想いに愛より深い何かを感じました。そして、「琴瑟」というタイトルと共にそんな関係性を見せてもらった事は腐的にとても幸せでした。

最終話「化生」。晩年、岡山城だと思います。タイトル通りのお話。亡くなった娘との会話。あぁ、もう直家公の死期が近いんだなと感じました。読者に読むと同時に感じもさせる作者…凄いです。改めて、本編含め素晴らしい作品でした。
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