このレビューはネタバレを含みます▼
『イキガミとドナー』のスピンオフ。兵器として無敵な特殊能力を持つイキガミと、その傷病をケアできるドナーを巡るお話です。前作でイキガミ政策の転換に大きく貢献した防衛省の柴田が入省した頃に遡ってスタートします。イキガミ永井春人のドナーであることがわかり柴田は閑職に回されそうになりますが、野心的な柴田は純真な少年•春人を「操る」と言って防衛省に残ります。けれども若さから好きだと一直線にぶつかってくる春人に絆され、柴田と春人はパートナーとなります。ドナーでありパートナーでありながら、イキガミを操る官僚でもあるジレンマに柴田は苦しみます。そして、好きだと何度も言ってくる春人に自分も好きだと返さないままに別れの時がやって来るのでした。そこから前作の終わり•10年後へと繋がり、柴田に猛烈アピールする滝とのお話に、一部イキガミの暴走も加わってストーリーか新たに展開してゆきます。片付けられなくてコミュ障で不器用な柴田がイキガミ政策を変えようとするまでと、さらにその後の心の軌跡が描かれます。巻末の『送り火』の余韻が素晴らしかったです。鬼道×吉野も元気で仲良しっぷりを見せてくれます。