神様なんか信じない僕らのエデン
」のレビュー

神様なんか信じない僕らのエデン

一ノ瀬ゆま

待望の続刊!丁寧で緻密で味わいが深い

2023年4月13日
人類の進化に置き去りにされたオメガバースではなく、これからの進化のひとつとしてのオメガバース!オメガバースが苦手な人も読めるのではないかなと思います。私自身オメガバースものは好んで読まなかったのですが、こちらをはじめて読んだ日の、のめり込むような感覚が忘れられません。
何度も上下巻を読み返す日々を過ごしていましたが、ついに続編が出るということで本当に嬉しいです!

突然変異的に二人に訪れた進化。発情期、フェロモン、雄と雌。
命題にされがちな「どこまでが本能での選択か」「どこからが理性での選択か」という問いに関して、かつてなく真摯に、かと言って綺麗すぎず、あたたかい生々しさを持って描かれていると思います。どちらかがどちらかに劣るわけではないのに、賢くなった私たちは理性だけで判断することに囚われすぎていたのかもしれない、とふと考えるほどでした。
かと言って、二人は本能だけでお互いを選んだわけではない。
「求められたいと願うことは、支配したいと思うことよりずっと欲張りである(意訳)」。求めることは本能で、求められたいと願うのは理性かもしれません。二人が交わすひとつひとつの選択や言葉がとても丁寧に張り巡らされ、かつみずみずしさを持って二人の間で育っていきます。
漫画にしかできないような巧みな表現や画面構成は見ていて飽きず、しかししつこくもなく、私自身はとても好みです。作者様コメントにある通り、本当に絵がパワーアップしています。
元々さらっとしつつ味わいのある頭身高めの絵柄がもっともっと丁寧になって美しくなり、読み心地というか喉越しがさらに上がった印象を受けました。
喬くんも西央くんもよりかっこよく美しく可愛くなっています。特に西央くんの匂い立つような美しさや色っぽさが本当に素敵。
突然のヒートを乗り越えた二人が、2巻ではこれからどうやって過ごして行くのかが描かれます。奥行きの増した展開に、この作品を続けて下さったことを本当に嬉しく思います。
群れの頂点たる風格がどんどん滲んでいき、西央くんを求める喬くん、また求められたいし与えたい西央くん。あのときの彼も登場して物語はどんどん鮮やかに動いていきそうですね。ますます目が離せません。
今後も楽しみにしています!!
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