ちぎれる首輪
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ちぎれる首輪

TOTIKO

色々な愛があるお話

ネタバレ
2023年4月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ レビューを拝見した上で購入しました。何よりも怪作、作画が良いに惹かれて購入を決意。無論、犬に何かがあるとは察した上です。人によっては地雷のオンパレードなので、何が出てきても自己責任で読んで欲しいですが…

でも、覚悟して開いてみれば作者さんの「飼い猫7匹…」という文字に「ああ、この人は特に特に猫が大好きなんだな」という気持ちを抱けたので、読了後、愛のある話でよかったな…と素直に思えました。

第二次性徴を迎え「オス犬に発情期のメス犬と認識されてしまうフェロモン」を持ってしまった特異体質の充。実家は犬の訓練所を営んでいるが故、どうしても犬と接する機会があり、充にとってオス犬(特に大型犬)は避けては通れない。…嗚呼…繊細すぎて言語化が難しいな…

ただ、ただ言えるのは「充は本来犬好き」なんですよ。好きじゃなかったら、こんな忌むべき記憶しかない所に居るハズないんですよ。…いや、トレーナーが居る内は襲われる心配がないのかもだけど、だけどじゃあ、この訓練所から出たら充はどうなっちゃうのか。

父親がハチを連れてきたのも、いつか出ていくことを想定したことなのか…充の父親が本当に、犬を、実の息子をなんだと思ってるんだと憤りと共にドン引いたのですが、経営者としてトレーナーとして父親として葛藤した結果なのかもしれないが、その葛藤によって7匹の犬と、7回も"充だけの犬"として育てようとして7回も心も身体もズタズタにされた充の…実の息子、犠牲になった犬たちへの行いは到底許されるものじゃないんだよ、本当に。

結ばれるまでの充のハチへの態度、犬であって人であるからこそ、あんなにキツかったんでしょうね…多分、襲われても悲しげに報告してたんじゃないかな。犬が好きだから。でも、でも襲ってきた以上、報告せねばならない。自分の特異体質の被害者であり、本来は生き生きとして居る犬たちを自分の声で…充の心情的は計り知れないです。
だからこそ、8匹目であるハチの存在…人の感情があって喋れて、でも犬であり人であり充に好意を向けてくるハチに、今まで蓋をしていた心の傷がバックリ開いてしまったが故に苛烈なまでの態度になっちゃったんだよね…

あと充の下が緩いのは、心の傷の反動でもあり…快楽が強烈に刻まれた故かな…と。ハチとくっついて良かったし、ハチという安全地帯で幸せにね…

先生の次回作、本当に本当にお待ちしております!!!
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