IN THE APARTMENT
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IN THE APARTMENT

絵津鼓

続編を読んで読み返してこその作品です

2023年4月24日
絵津鼓先生の作品は、何でこう心に沁みるのでしょうか。いつも通りだけど、いつもに増して2人の間に流れる空気が切なかったです。日々を「何となく」の惰性で生きている感じは2人に共通しているようなのに、明らかに妹尾が抱える過去の方が重そうで…でも明るく飄々として見えるのが余計に無理をしているように映りました。ラストで杉本が決定的なセリフを言ったと思ったので、その後の妹尾のセリフと行動の意味が分からず、杉本と一緒に軽く迷子になりかけたと思います。でも、これも杉本と同じで想いは伝わってると思ったし、通じ合えてるとさえ感じていました。なので2人の未来に何の不安もなかったのに、『続 IN THE 〜』でとんでもない展開になって焦りました。この作品は、続編というより実質2巻完結の続きものという感じなので、『続〜』まで読んでの作品だと思います。『続〜』の展開にひとしきり驚いた後にもう一度読み直すと、「あーなるほど」と納得しましたし、伏線の張り方が秀逸すぎて感嘆しました。普通の伏線は文章で表すと思いますが、先生の場合は見事に絵だけで表現してあるんですから、レベルの高さに驚きしかなかったです。
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