イキガミとドナー 二人のイキガミ
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イキガミとドナー 二人のイキガミ

山中ヒコ

18歳の春人の決断

ネタバレ
2023年4月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作「イキガミとドナー」で、自身もかつてイキガミのドナーだったことを打ち明けた防衛省官僚の柴田さんメインのお話。上巻は柴田さんのかつてのイキガミ春人編で、1〜6話までで206ページ。下巻は現在イキガミとして活躍する滝編で7〜10 話+エピローグなどで182ページ。上巻は柴田さんとイキガミの春人のエピソードで、10年前に二人が出会った当時を振り返るお話です。私は個人的に「泣ける!」と皆さんが絶賛される作品であってもBL作品を読んで涙したことはほとんどないんですが、初めてこれはちょっと泣くのを堪えられないかも…と思ってしまいました。敵と戦うことになるかもと不安を募らせる優しい春人を、操るために好意を利用して懐柔しようとした柴田さん。躊躇なく左目を提供したけれど、手術後に再会した二人のこころうちは?謝罪を繰り返す春人も、そんな春人を抱き締める柴田さんも辛かった。幸せな家族を夢見てプロポーズをしたのか?もしもの時を考えてことだったのか?結婚を切り出した時春人はまだ18歳だったんですよ。春人が殉職後にやっと好きと言えた柴田さんと一緒に噎びました。。下巻はそんな心に深い傷を負った柴田さんに寄り添おうとする滝がメイン。今までは滝を通して春人を見ていたのかもしれないけど、イキガミに逆恨みされた柴田さんが、今までを振り返って死んでも良いと思ったのに、最後によぎって生きていたいと思ったのは滝だったんです。もうこれで十分でした。迎え火のエピローグは、正直感情移入が難しかったんですが、春人のことも柴田さんを形作るピースだから仕方ないのかな。滝がもう少しあからさまに柴田さんに愛されてるところが見たい!ということで、更に続編希望です!
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