ライオンハーツ【単行本版】
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ライオンハーツ【単行本版】

三田織

弱くて傷ついた、勇敢な魂を讃えたい

ネタバレ
2023年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 数年前に他サイトにて連載作品の更新を楽しみに読んでいました。ある時更新されなくなって(6話までは読んでいました)、続きはどうなってしまうのだろう…と、とても気になっていた作品でした。この度の単行本化、本当に嬉しく思います。
7話以降を知らないままでしたので、途切れていたところからの二人をどう立て直されるのか(あるいは立ち直れないエンディングがあるのか)、不安な思いも抱きつつじっくり読ませていただきました。

対照的なふた組の親の描写があります。
礼央の方は包み隠さず何でも話していて、親も柔軟な対応ができる人。
一方の獅子丸は…。
以前読んで、途中どうしても許せないセリフがあって…当時も憤っていたのですが、やはり今回もモヤモヤしました。
真宮家はお兄ちゃんフリーダムだけど、兄弟仲も良好でいいんです。それなのに、なのに、おかん!
手が掛からなくて助かるなんて言われて育てられた子は、手が掛からないように気遣いながら生きようとするんです。獅子丸がちっちゃな頃から、ずーっと自分の価値観を押し付けながら育ててきたでしょ。クラスの子を平気で問題児なんて言う教師も信用できない。
獅子丸の心が弱いのだとしたら、そんな風に押し付けられた価値観と自分の本当の気持ちとに板挟みになってしまったからに他ならない。
作者の三田先生も、なんで2人だけが頑張らないといけないのかと、途中から腹が立ってきたと書かれていましたね。もちろん、親も獅子丸を好きだったクラスのあの子も、物語の中で必要なキャラクターづけであったとは思いますが。

少なくとも、置いていかれる人の痛みが分かるような、相手に寄り添う気持ちを持てるような、そんな子育てをしていれば…と何度も思う。
私も反面教師にします。

この先の2人には、逆風も吹くけど応援してくれる人もいる。
そう、ひとりぼっちじゃないからね。

7話の扉絵、カワイイですね…。物語の流れを思うと、涙が出てしょうがないんだけどね。
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