ひばりの朝
」のレビュー

ひばりの朝

ヤマシタトモコ

ひばりは朝を迎えられたのだろうか。

2023年5月15日
ヤマシタ作品は月の裏側にいる自分を意図もなく手のひらに乗せてしまう。
そしてその自分を見てギョッとするのだ。
そうそう知ってる、このアタシ。

今作品も主人公を取り巻く大人や同級生、それぞれの欲望や正義、内面、外見、武器もコンプレックスも見たくない自分も理想の自分も、ことごとくあらわにさせられています。
大人の上滑りする言葉も、思慮にかける行動も、自分の経験値から逸脱できないのなら慎む配慮を持つべきなのだ。剥き出しの感覚からすれば、それは「死 ね」の一言で爆発させたい攻撃対象。
ひばりが同級生の男子と会話するシーン。
「助かるの?」
こんなに絶望的な言葉があるだろうか。救いを微塵も信じられない「助かるの?」...分からないよひばり。

ヤマシタ節。
今回も色々と抉られたなぁ。
病みつきの毒が体に染み込んで心地よいです。
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