レンタルタマちゃん
」のレビュー

レンタルタマちゃん

らくたしょうこ

メリバだよ

ネタバレ
2023年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ なんて悲しい。らくた先生の作品でこんなに悲しい気持ちになったのは初めてです。

ハピエンやイチャラブを好む方はネタバレレビューチェックした方がよろしいかと思います。いわゆるメリバ作品ですので心が元気な時に読みましょう。
良いか悪いかは好みの問題なので置いておくとしてとても心に刺さりました。

ゆるやかに死んでいく町という世界設定が絶妙にリアルで、みんな自分のことで精一杯な世界で癒やしを求めて猫をレンタルしたら猫のフリした人間が来ちゃったというお話。
とにかく猫(人間だけど)の青に救いがないです。生まれてから矢澤と出会うまで幸せを感じることはあったんだろうか。
青の猫のフリの技術点が異常に高く、途中からもうこいつは猫だと思って読んでしまいました笑

青の人生、逃げても逃げても追ってきた優しい飼い主の腕の中で暖かい最期だったのが唯一の救いだったように思います。
各扉絵も3話まではタマで4話はタマをやめる青、最終話はハピエンと見せかけて落ちている猫缶から察するに、扉から迎えているのは人間では無く猫になった青で拘りを感じます。とは言えこの作品から何を拾うのか読者に委ねられてる部分が大きいように感じもう少し作者の意思を見たかった部分もありました。

ゆるやかに死んでいく町だけど、死んだ土からもいつの間にか新しい芽が生えるようにそれぞれが小さな希望を持って再生していくんだなと思う読後。
表題作のみ199P、タマを思う矢澤の気持ちを考えるとやるせない感情でいっぱいですがらくた先生新境地な作品で作家魂を感じました!良かったです!
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