このレビューはネタバレを含みます▼
どことなく影があり美しく悲しい、作者のコウ先生の世界が好きです。
ドップリとハマり、何度も読み返しています。
エロ描写よりもストーリーをじっくりと楽しみたい方にオススメします。
小3から義父にレ○プされていた矢代、母もほぼ育児放棄で、金は置いてくが家にいない。高校生の頃には1人暮らし。義父の影響で、縛り・押さえつけ・タバコ押し付け・殴り・肩脱臼など、めちゃくちゃ痛めつけられるプレイが好きで、誰彼構わず誘う。まるでそれが生きている実感を感じるかのように‥
矢代の高校の同級生、影山は医者の息子。ケロイドや傷跡が好きな性癖?を持ち、何かと気にかけてくる。何度か身体の傷を触らせた事があったが、性的関係はなし。お互い好意はあったが告白はせず。矢代は一歩踏み出せないし(自分は他人を好きになれないと暗示をかけてるのか?)影山は友人だと一線引いている。
矢代はヤクザに、影山は内科の開業医になる。
矢代より11歳年下の百目鬼には5歳下の妹がいる。百目鬼10歳の時に、女の子が欲しかった両親が施設から引き取った。成長するにつれて妹から好意を寄せられるが自分はその気がないので、逃げるように警察学校に入り実家を出る。警官になりある日実家に寄った時に、自分の父親が妹にレ○プしているのを目撃してしまう。その時の人形の様な妹の顔‥だいぶ前から妹が喋らなくなり、笑わず、雰囲気が変わった理由を瞬時に理解した百目鬼は実の父親をボコボコにし、傷害罪で服役後実家から離れ、絵の道に進む妹を応援するために手取り早く稼ごうと街金に勤め、そこで矢代に出会う。
もともとノンケだった百目鬼だが、綺麗な髪と顔で独特のオーラを放つ矢代に惹かれる。
自分の部下には手を出さないのが矜持だった矢代は、必死に百目鬼への欲望を抑える。百目鬼はレ○プ目撃のショックで不能になっているのが、欲望を抑える支えになっていた。けれど真っ直ぐに自分に向かってくる百目鬼に矢代は‥ヤクザの組関係や人物相関図が複雑で、スッと理解しにくいけど読み返すと答え合わせができます。矢代、百目鬼の表情の変化、25話、カーテンの隙間から差し込む光、35話、矢代が片目を押さえて遠目から百目鬼を見ているシーンなど、ああそうだったのか‥と心に響いて涙しています。矢代、もう自分に素直になって百目鬼に飛び込んで欲しい‥けど、本当に心にいるのは影山だよね‥