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夏糖

時間をかけて次第に色づく大人の恋

ネタバレ
2023年6月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新卒で入社してまもなくリストラされた河合純清が思い詰めているところに通りがかった森さんが声をかけてきます。着物姿のおじさま•森さんの家でごはんを頂いて落ち着いた純清に森さんは近いから好きな時にごはんを食べに来ていいよと言ってくれます。小説家の森さんは料理が気分転換だと言い、純清は就職活動をしながら頻繁に通うようになります。コミュ障の純清はなかなか自分をアピールできなくて再就職もままならないのですが、穏やかで大人な森さんに支えられて何とか乗り切るのでした。そこに森さんの長男の秋人と長女の椛か現れます。高校1年という難しい年頃の秋人とやりとりするうちに、純清は自分の森さんへの感情が恋だと気付きます。自分の想いを森さんに告げて姿を消した純清に、森さんは自分の気持ちを作品に表現するのでした。木々が季節を経てゆっくりと橙色に色づくように静かに進むお話は、最後まで恋になるのかならないのか微妙なところを描いて終わります。キスにも至らない歳の差CPの関係はスカッとキマリがつく訳ではありませんが、二人の醸し出す温かい世界にほっこりとします。
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