シャングリラの鳥
」のレビュー

シャングリラの鳥

座裏屋蘭丸

全てが圧倒的で圧巻

ネタバレ
2023年6月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 座裏屋先生の作品は、そのどれもが圧倒的な世界観と画力、緻密に作りこまれたストーリー、作品そのものに込められた熱量があって、それらを受け止めるにはある種の覚悟のようなものが必要だといつも思います。氏のどの作品にも言えることですが没入度が半端なく、感情移入という言葉では言い表せないほど。
作品は既刊3巻まで読了。
ここまできてしまうとフィーにとってもアポロにとっても、もうこれ以上進むことも、ここから引き返すことも、そのどちらもが茨の道。
無自覚に欲していられた頃とは比べられないほど鮮明な浮き彫りとなってしまった想いは、フィーとアポロだけでなくかかわる人全員をきっと苦しめていく。それでも尚、出会わなければよかったとは到底思えない。思えないけど…!という永久ループ。
読者としては無責任に幸せになってほしいと思わずにいられないし、許してあげてよ!と感情振り乱して願わずにいられません。フィーにもアポロにも、もうこれ以上傷ついてほしくない。世界はなんて非情なのかと思うと同時に、だからこその「楽園・シャングリラ」との対比が本当に素晴らしいのです。
モブのモブに至るまですべての登場人物の心情が読める描き方は本当に圧巻だと思います。
最後の一コマまで覚悟をもって見届けたい。
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