ソムニア
」のレビュー

ソムニア

冥花すゐ

読後感は…複雑な感動?感情?

ネタバレ
2023年6月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ メリーバッドエンドです。
外科医 x 余命僅かな青年、なのでずっと「死」を意識させられていました。
それは「死ぬということ」とは何か?を問うのではなく、純粋に、愛する人を残して逝かねばならない者の気持ち。そして愛する人と少しでも長くいたい者の気持ちを痛いくらいに強く感じました。
いつ終わりが来てしまうのだろう?という暗いドキドキの末、かすかな未来が見えた矢先にドン底に落とされるような結末でした。なのに描き下ろしを読んだ後には不思議とやるせなさよりも、良かったと思う感情が勝っていました。これは一種の解放感だったのでしょうか?ホッとしてしまったのかもしれません。
外科医は報いを受ける形でしたし、青年は幸せな夢を見ながらだったからでしょうか?これもある種のカタルシスなのかも知れません。

「夢」(ソムニア)と言えば物語り上、重要な意味を持っていたと思います。
序盤では不穏でミステリアスな空気を感じましたし、中盤では外科医の優しさに気づき、最終的には辛く生きる2人の救いに思えました。(まぁ夢ではなかったんですが汗)(そしてえろかったんですが汗)

愛する人を悲しませたくないただそれだけなのに、人の心とは何と複雑でままならないものなのか?
愛する人と少しでも長くいたいエゴの為に、人とは手段を選ぶ余裕を失くしてしまうものなのか?
冥花先生の作品の中では明解な作品だと思いますが、読んで得た感動は微細なところで複雑に絡まった不思議なモノでした。

あとチューリップの花言葉を調べてて知ったのですが、本数によっても意味が違うそうで、攻めさまが扉絵で持っている本数は一本。白いチューリップと紙でできたチューリップ。本数の意味は「あなたが運命の人」白の意味は「失なわれた愛」…エモい。
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