このレビューはネタバレを含みます▼
どこにも逃げ場のないヘドロのような最底辺で朔夜という神を見つける蒼と、同じ場所で蒼が一心に向けてくる気持ちに傾く朔夜。
朔夜は蒼の環境も気持ちもわかるからこそまともな人間にしてやりたいし、そうすることで救われようのない自分が少しでも救われた気持ちになりたかったんだろうなと思います。
ただ真っ当な人間になりたかった朔夜、けれどそれを絶対に許さない煌。悪夢のような異常者でありながら「煌」という名前がアンバランスで、光のない「朔夜」にとってそれが唯一の光だったのかと思うと切なくなります。暗闇に差す目もくらむほどの「煌」は明転反応で何も見えなくなる。
出会ったことで救われたのはきっと蒼ではなく朔夜で、最後に朔夜が「生きててよかった」と見上げることができた蒼い空はきっと広く大きくあたたかで暗闇に柔らかい光を運んでくれる。包んでくれる。
ヒリヒリするような展開とツラく切ない気持ちが交錯する場面が多いですが、最後の最後で溺愛受けのターン!!最高かよっっっ!!!!