幸せの条件
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幸せの条件

草間さかえ

あとがきまで最高

ネタバレ
2023年7月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 草間先生大好き。
以前、こちらの短編集の中に、『夢見る星座』に収録されている「されど美しき日々」が加筆修正された上に続編とともに収録されていることを教えていただきまして、先月ようやく購入して読むことができました。
197ページ。短編が4作品収録されています。全体を通して、とても優しい空気感の作品集です。

人がどんな時に人を好きになるのか、どうやって恋に落ちるのか。理由なんて様々で、理由のつけられない落ち方もあるけれど、草間先生の作品には、そっか〜そこか〜、と思える些細な理由が描かれることが多く、そこにキュンときます。
カッコいいから、優しいから、とひと言に言っても、どんなカッコよさや優しさかは、人によって捉え方が違うんですもん。例えば小さい物に優しい、例えば相手のことを思っての厳しさ、例えば自分にしか分かり得ない魅力。
「銀杏のはなし」は、植物を愛する草間先生らしい物語。あの再会には涙が出ちゃう。

この度、紙の本で持っている『夢見る星座』の「されど美しき日々」とこちらの収録作とを見比べてみました。
わあ、ホントだ。特に委員長の表情がすごく違う!瞼の傾き、口の開き、微妙な加減でこんなに変わるものなんだなあ。
実は『夢見る星座』の方で初読みだったこの短編、なかなか理解し難い関係性だなと思っていたのです。今回続編も含め読んでみて、補足されているのもあってか、委員長の山口くんへの想いの強さがやっと理解できた気がします。そんなことしなくても、きっと山口くんは委員長のこと好きだったと思うよ、って言ってやりたくなりますが、なにぶん子どもって残酷だから…。
続編までに10年という期間があって尚、先生の中でキャラクター達が生きていたということ。愛されているんだなあと、とても嬉しくなります。
そして、最後のあとがきまでも楽しい草間先生( ´ ▽ ` )。やっぱり大好き。
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