心中するまで、待っててね。
」のレビュー

心中するまで、待っててね。

市梨きみ

複雑な気持ちになる作品

ネタバレ
2023年7月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作品を純粋に楽しみたい方→レビューは読まず先に作品を読んでください!
覚悟を決めて読みたい方→このレビューや他の方のレビューを参考にして下さい!

私は他の方のレビューを読んでバッドエンドであることが分かった上でこの作品を購入したので、覚悟して読みました。上巻の1番幸せな所を読んでいる時も「でもこれバドエンなんだよなぁ…」という考えが頭をよぎり、下巻で結末を見た時の衝撃こそ、何も情報を知らずに読んだ人よりかは少なかったと思いますが、この作品を本当に心から楽しめたかと言われれば微妙です。作品を心の底から楽しむためには何も情報を入れずに読むことをオススメします。結末を知った時のショックや心のダメージも相当なものになるとは思いますが…(汗)
結末を知ったあとに読み返すと、色々と合点がいきました。大家さんがゴミの処理に使っていたドラム缶のこと、大家さんの片付けの手伝いが終わった後に水をぶっかける程葵さんが心底嫌そうにしていたこと、2階のおじさんが福太の隠した鍵の位置を知っていたこと、それを知った葵さんの慌てぶり…。中でも私が1番衝撃を受けたのは、上巻の最後のページの葵さんのイラストでした。てっきり押し入れに入っているイラストだと思っていたのですが、下巻の最後の箱とイラストを見てハッとしました。あと、葵さんに家族になってほしいと伝えている場面で、「どんな姿になっても」という言葉も結末を知る前と後では大きく意味合いが変わってくると思います。

読み終えた後、終わり方を踏まえるとバドエンなのですが、2人の世界で生きられると考えると幸せなのかな…?と複雑な気持ちになりました。本当に暗い気持ちになり心のダメージも酷かったですが、読んで良かったと思います。深く考えさせられる作品でした。
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