蛍火艶夜 単話版
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蛍火艶夜 単話版

amase

塚本太郎編もぜひお待ちしています…!

ネタバレ
2023年7月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1日に2,3回繰り返し繰り返し、大切に読んでいます。とくに和さんと塚本くんのお話が大好きで、2人の物語の続きを!と願うも、和さんが戻ってくることはなく…。塚本くんが機体整備で細工して、途中帰還するように仕向けてくれないかな…と思わず願いました。でも、国のために散ることこそ美しいという価値観を強要されている時代に、和さんを失敗させるようなことはしないだろうな…というより、考えつきもしないんだろうなと、考え直しました。塚本くんは和さんのことを想っているからこそ、機体に不備がないように、和さんが最期の瞬間まで優れた搭乗員でいられるように、決死の覚悟で整備したんですよねきっと…。数ヶ月後に終戦が訪れ、これまでと180度違う民主的な価値観を促され特攻の異様さが認知されていくなかで、なぜ和さんは死なないといけなかったのか、もっとできることはなかったのか、特攻がなければ和さんは今も隣にいてくれたのではないか……優しい塚本くんなら、そんな思いに囚われてしまいそうです。特攻を指示した上官は、責任を逃れるために失踪することもあったようで、そんな酷い様を目の当たりにしたときに、塚本くんはどう感じるのか。終戦を告げる玉音放送をどんな気持ちで聞いたのか…。塚本太郎編も、ぜひ、ぜひともお待ちしています!そして作品の題材上、不謹慎に思われる方がいるのは当然で、避けられないことだと思います。否定的意見に共感する部分もあり、作品を受け入れがたい気持ちもよくわかります。すみません…それでも自分は蛍火艶夜に出会えてよかったです。蛍火艶夜を読まなければ、特攻隊というものを誤解したままでした。勇敢な若者たちが、国のために自ら命を捧げた、お恥ずかしながらそんな印象を持っていました。しかし実際は、生きていたい若者が大半だった。生きたくても、特攻を拒否する選択肢がなかった。正気の沙汰ではありません…。蛍火艶夜を読んで、そして、自ら調べようとしなければ知り得ませんでした。こんな悲惨なことがなぜ起こってしまったのか、どうしたら避けられたのか、同じようなことが起きてしまったら自分達にできることはなにか…。大切なことを考えるきっかけをくれました。どうか、amase先生が描きたい物語を、最後まで貫いてくださいませ!そうじゃないと、こんなに人を動かすような、心に触れる作品は産み出せないのだと思います。どうかどうかお願いいたします!
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