苦いのテーマ
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苦いのテーマ

阿部あかね

苦しくて辛くて泣けてしまった

ネタバレ
2023年7月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 育まれた愛が壊れる時の痛みよ。
ざっくざくに心が切り刻まれました。
なんなんでしょうね。みぞおち辺りがぎゅぅっと掴まれて2人の表情やセリフに涙が出てしまう。

まず阿部先生のお話の運びが上手い。
さすが。
導入が新と先輩からなんだもの。まさかそこのやり取りが伏線だなんて思わなかった。
長らく育んできて幸せの形そのものになった新を見失ってしまったなっちゃん。
オトコとして魅力的で刺激的で優しい先輩を体が求めてしまった...。バカっ(泣)はじめは火遊び感覚の表情なんだよねぇ。段々と心と欲望がバラバラになってしまう様が辛くてねぇ。
一方、裏切られ荒ぶる新が恐ろしく悲しい。震えました。あまりの慟哭に心臓が痛くて痛くて。きっとどんな痛みよりも新が味わった痛みがいちばん痛いはず。先輩を受け入れたなっちゃんの部分に自分のモノを埋めた時の苦しみってどれだけなんだろう。めっためたになっちゃんに暴力を奮ってしまうけど、殺されたのは新の心だ。
なっちゃんの後悔、新の苦しみが一コマ一コマびしばし伝わってくる。
笑顔の消えた新に縋るなっちゃんがどれ程幼稚だったか。

作品に痺れた。

ふたりは次の関係を模索してお互いの心を探し当て、次のステージに行く未来が描かれています。
新の言うとおり壊れてしまったものはもう戻らない。
だから新しく見つめ合ってまた作っていく二人を心底応援したい気持ちになりました。

阿部あかね先生の作品、本当に好き。
今回はギャグは少なめ。
地雷もなかなか埋められてるので、注意が必要ですよ!
りばだし浮気しちゃうしタコ殴りだし。
でも最高。

**215ページ**
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